今回は1876年創立、日本最古の私立医大である日本医科大学医学部の実態に迫っていきます。
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1)日本医科大学医学部キャンパス情報
日本医科大学の医学部生は初めの1年間を武蔵境キャンパスで過ごします。
この武蔵境キャンパスは日本獣医生命科学大学と同じ敷地でJR中央線武蔵境駅より徒歩2分と好立地です。
そして医学部2年生以降は千駄木キャンパス(文京区)です。
またこちらも根津駅下車徒歩10分と好立地なキャンパスです。
日本医科大学は医学部しかないため、この2つのキャンパスのみとなっています。
附属病院
日本医科大学の付属病院は4つあります。
そしてそれらは日本医科大学附属病院(文京区)、武蔵小杉病院(川崎市)、多摩永山病院(多摩市)、千葉北総病院(印西市)となっています。
特に日本医科大学付属病院は2018年にできたばかりの新病院で、病床は800床を超えNICUも完備しています。
2)日本医科大学医学部の特徴
長い歴史【私立御三家】
1876年創設で私立医学部の中で最も歴史の長い日本医科大学は10000人近い卒業生が様々な医療の場で活躍しています。
戦前より続く私立大学医学部は、慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、そして日本医科大学の3校のみで、これらが私立医学部の『御三家』と呼ばれることがあります。
しかし近年では御三家よりも歴史的の浅い順天堂大学もレベルを上げており、日本医科大学と並べて比べられることが多いです。
また日医は西洋医師養成を目的として長谷川泰により創立された「濟生學舎」が前身となっています。
そのため「済生救民」を建学の精神として、「克己殉公」を学是としています。
さらに研修先の先輩や上級医にも同窓生がいるため、卒後も医師としてのキャリアを気づく上で役立つことは多いです。
実際に私は初期研修先の病院にいたOBの方のおかげでマッチングがスムーズにいきました。
多様な入試方式【再受験に寛容】
次に日本医科大学の入試方式は一般選抜(前期)、グローバル特別選抜、一般選抜(後期)、地域枠(東京都、千葉県、埼玉県、静岡県、新潟県)の4つあります。
そのため多くの人に受験の門戸が開かれてるのが特徴です。
さらに、日本医科大学は昔から再受験や多浪の受験生にとても寛容なのが特徴です。
医学部の中には医師として働く時間が短く限られるという理由から、再受験生や多浪生の受験に厳しいところもあります。
しかし日本医科大学は毎年10名弱の再受験生が入学していることから分かる通り、受験生の年齢を選抜要件としていません。
そのため私立医学部再受験の方には最難関の第1志望校となる場合が多いです。
最近は再受験生の入学者が以前より減っていると言われることもありますが、おそらく年齢差別が原因ではないと思います。
国際的なプログラム
近年日本医科大学では英語教育に力を入れていて、積極的な国際交流を推奨しています。
そのため提携大学8つの他、研究機関に留学をすることが可能です。
またアメリカの医師免許を審査するECFMGの認定する国際認証を受けているため、アメリカの医師免許試験USMLEを受験することが可能です。
さらに6年生の時の選択臨床自習では海外提携大学での臨床実習もできます。
ICTを活用した教育
日本医科大学医学部は、情報通信技術(ICT)を活用した教育に力を入れています。
そして授業の講義資料は事前にデータで大学側から全学生に配布され、講義中の動画も公開されます。
医学部の講義カリキュラムはかなりハードで、留年しないためにも予習・復習は欠かせません。
しかし講義資料が事前に手に入るので予習もできますし、公開動画を使って復習もできます。
3)入試
入試形式
上記で示した通り、日本医科大学の入試方式は一般選抜(前期)、グローバル特別選抜、一般選抜(後期)、地域枠(東京都、千葉県、埼玉県、静岡県、新潟県)の4つあります。
まず2024年度の入試日程は以下のようでした。
一般選抜(前期、地域枠) | グローバル特別選抜 | 一般選抜(後期) | |
1次選考入試科目 | 理科、数学、英語 | 共通テストの国語、理科、数学、英語 | |
1次選考 | 2月1日 | 2月1日 | 2月28日 |
2次選考(小論文、面接) | 2月9,10日 | 2月9日,10日 | 3月10日 |
募集人数 | 76名(うち14名が地域枠) | 10名 | 33名(うち6名が地域枠) |
受験者数 | 1599名(地域枠除く) | 209名 | 1146名(地域枠除く) |
試験会場 | 1次:東京会場(武蔵境校舎、ベルサール渋谷ガーデン) 2次:千駄木校舎(文京区) | 1次:東京会場(武蔵境校舎、ベルサール渋谷ガーデン) 2次:千駄木校舎(文京区) | 1次:武蔵境校舎 2次:千駄木校舎(文京区) |
一般選抜
一次選考
日医の一次選考科目は英語、数学、理科(物理、化学、生物から2科目)です。
配点は以下のようになっています。
科目 | 外国語(英語) | 数学 | 理科 |
配点 | 300点 | 300点 | 400点(各200点) |
時間 | 90分 | 90分 | 120分 |
数学
まず数学は数Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・Bから出題されます。
大門5題で90分です。
日医の数学は私立医の中でも難易度が高く、計算も複雑です。
また合格目標は6割(得意なら6割6分)ほどでしょう。
頻出分野は確率、三角関数、図形と方程式、数列、ベクトル、極限、微分積分で、特に微分積分や不等式の証明は難易度が高いです。
そのため複雑な計算をスピーディーに解く必要があります。
英語
次に英語は90分で、大門3題です。
大問1が語義・文法・発音・アクセント問題、大問2が長文読解、大問3が英作文です。
難易度は数学と比べて標準的です。
また合格目標は7割から8割です。
しかし日頃から発音やアクセントを意識して勉強する必要があります。
そして英語のポイントは大問1と3でいかに安定して高得点を取れるかです。
理科
最後に理科は120分です。
まず化学は大問4問で難易度が高く、かつスピードが重視されます。
合格目標は6割5分です。
しかし有機分野に関しては平易な問題なので確実に取る必要があります。
次に物理は大問4問で生物よりも難易度が低く、割と平易な問題が多いです。
合格目標は7割で、生物選択よりも物理選択の方が有利と言えるでしょう。
そして範囲は力学・電磁気・熱が固定で、波動か原子が毎年ランダムです。
最後に生物は大問3問、難易度は標準的で分野に偏りがあります。
出題分野は体内環境、分子生物、細胞生物などです。
そして合格目標は6割5部から7割です。
全体では6割から6割5分を目指しましょう。
二次選考
日医の二次選考は小論文と面接です。
小論文は前期60分、後期90分で600字以内の意見論述です。
内容は概念の抽象的なテーマから医学に関する専門的な背景知識を問うようなテーマまで様々です。
そして面接は20分の集団討論と10分の個人面接です。
まず集団討論は受験生4〜5人に対し、面接官は3人です。
テーマは医療に関わるものですが、そこまで専門的な知識は必要ありません。
それよりも集団討論では論理立てた話し方や協調性が重要視されています。
次に個人面接は10分で受験生1人に対し、面接官3人です。
そして内容は医師・大学志望理由、併願校、将来の医師像など、個人的なものです。
しかし時間が10分と短く、深く追及されることはないので心配する必要はないです。
学費
日医の学費は6年間で2200万円です。
また一般選抜の特待生制度はグローバル特別選抜で10名、前期で35名、後期で3名となっていて、入学した場合制度が適用されます。
そのためグローバル特別選抜の特待生は1700万円、前期・後期の特待生は1950万円で通うことが可能です。
充実した奨学金制度
そして他にも日医には奨学金制度が充実しているという特徴があります。
日本医科大学奨学金、日本医科大学父母会奨学金、日本医科大学特別学資ローンなどが大学独自の奨学金として利用できます。
そのため、条件はありますが日本医科大学は比較的金銭面的にも工面しやすい大学といえます。
学生の浪人率・再受験率・男女比
まず日本医科大学の入学者125名ほどの男女比は5:5、6:4で男女半々か少し男子が多いくらいです。
そして浪人率ですが毎年5割強ほどが現役、3割ほどが1浪、1割ほどが2浪、そして1割弱が3浪以上の多浪もしくは再受験となっています。
2024年度入試の詳細受験者情報はこちら
4)カリキュラム
日本医科大学のカリキュラムの特徴として授業数が多く、進級判定が厳しいです。
しかし2019年からは「仮進級制度」が始まったため、実際に留年となる学生は減少傾向にあります。
そして他にも学年を超えて継続する科目があるのが特徴です。
1年生
1年次では医学入門・医学実地演習・自然科学基礎(物・化・生)・生物科学・生物学実験・物理学・化学・数学・スポーツ科学・外国語・人文科学・社会科学・特別プログラム・セミナー・解剖学・生理学・生化学・分子生物学などを学びます。
2年生
2年次は基礎科学・医学実地演習・少人数医学教育・医療法学・分子解剖学・生体構造学・システム生理学・生体統御学・代謝栄養学・分子遺伝学・特別プログラム・病理学・微生物学・免疫学・衛生学・公衆衛生学などを学びます。
また特に2年次から3年次は留年者が多く進級は難しいと言えます。
そして医学部生にとって重い科目トップ5に入る解剖学があります。
3年生
3年次は臨床医学概論・循環器・消化器・呼吸器・感染・腫瘍・乳腺・神経・リハビリ・救急・生体管理・放射線医学・アレルギー・膠原病・免疫・血液・造血器・腎・泌尿器などを学びます。
また3年次には基礎配属があり、期間はおよそ2週間、自分の興味のある分野に対して自由に研究することが可能です。
4年生
4年次は産婦人科学・運動感覚・小児・思春期医学・頭頚部医学・耳鼻咽喉科学・眼科・皮膚科学・形成・再建・再生・精神医学・麻酔・集中管理・疼痛制御・基本診療実習・統合臨床などを学びます。
また4年次にはCBT・臨床実習前OSCEの試験も控えています。
5年生
5年次は臨床実習が中心です。
アメリカの医学部では70~80週間の臨床実習が行われますが、これまでの日本では50週前後しかありませんでした。
しかし日医の臨床実習の時間数は70週で、全国的にも十分な実習期間が確保されています。
6年生
6年次は臨床実習の続きと国家試験対策などを行います。
5)学生生活
まず日医最大のイベントは11月に行われる医獣祭(大学祭)です。
また医獣祭は武蔵境キャンパスで獣医学部と共同で行われます。
日本医科大学の部活動・サークル活動が盛んで、運動部は25団体、文化部は14団体あります。
そして9割近い学生が部活動やサークル活動に参加しています。
6)内部生の声
・1年次には同じ敷地内にある日本獣医生命科学大学の学生と交流が可能。
・1年生から実習があるためモチベーションの高い状態で臨床科目の勉強に突入できる。
・成績優秀者には成績免除システムがある。
・奨学金を借りている学生も少なくなく、お金持ちのボンボンみたいな学生は少ない。
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