今回は私立・国立の医学部に通う医学部生12人の話を聞いて、医学部は何浪までアリなのか、浪人率や浪数、大学・性別ごとの違いを実情を踏まえて説明していきます。
1)医学部受験生が他の受験生と違うところ
まず医学部受験生が他の受験生と違うところ、医学生が他の学部生と違うところ、それは「医師になるには医学部を卒業しなければならない」という医学部が大学学部でありながら職業訓練校的な性質があるということです。
医師は人の生命を扱うというその専門性から古来より人々の尊敬を集めてきました。
だからこそほとんどの医学部受験生が「何としてでも医学部合格」の義務を自らに課し、その保護者や指導者は「何としてでも合格させる」使命を負っているのです。
結果、医学部は他学部と比べ浪人生の割合も浪数も比較できないほど多いのです。
2)医学部の浪人率
では次に医学部の現役、浪人率について私立・国公立・男性・女性に分けて紹介します。
私立・国公立
まず私立の浪人率は7割ほどで5割ほどの国公立よりも高い傾向にあります。
理由は様々考えられますが、国公立医学部に合格するような医学部受験生は受験生の中でも上位層で、現役でも国公立医学部に通える学力である場合が多いということが大きいでしょう。その証拠に、地方国公立に通う医学生は第1志望からランクを落として現役合格を優先する人がかなり多いです。
そのため国公立の医学生は「もっと上の国公立医学部も狙えたけど」という人が多いのです。
対して高い学費の私立医学部受験生は経済的にも余裕があり、「親が医師だから何年かかっても、いくらかかっても医学部に行く」人が多い傾向にあります。
また私立は国公立よりも年齢に寛容である傾向があります。
慶應・順天など現役志向が強い医学部もあれど、全体的に国公立は多浪に厳しめです。
男・女
また男女で浪人率を比べると、私立国公立以上の差が明らかに異なります。
結論から言うと私立で男子8割・女子5割、国公立で男子7割・女子4割ほどが浪人しています。
世間で一般的に「医学部の多浪」といったら大体男性です。
これは医学部の男性比率が高いからとも取れますが、実は男女の性別に対する偏見が関係しているのではないかと考えます。
というのも、男性は歳を経ても高学歴・高収入(ましてや医師なんて!)ならモテますし、女性ほど色眼鏡で見られることは少ないです。
しかし女性は出産・結婚・将来のキャリアを並行して考える必要があり、「20代の若いうちに浪人なんてしている場合じゃないでしょ」というような風評があるのが事実です。
また医学部の入試不正問題で取り沙汰されたように、女性の出産・子育てで離職する可能性があることを嫌う大学は少なからずあり、これらも女性の浪人率が男性よりも低い理由でしょう。
3)浪人生の浪数
次に「浪人は浪人っていっても何浪が多いの」と思う方のために、現役医学生の感覚値をお伝えします。
まず男性は浪人生の5割ほどが1浪、3割ほどが2浪、残りが3浪以上という印象です。
しかし特筆すべきは3浪以上に含まれる2割ほどの浪人生男子は「ほとんどが3浪」というわけではなく、純粋4浪・5浪が少なくない人数含まれるという点です。
浪人が私立より少ない国公立でも3浪以上の浪人生の割合は1割を超えています。
続いて女性についてですが、浪人生の7割ほどは1浪、3割ほどが2浪です。
以上です。
女性は3浪以上の浪人生が極端に少なく、いたとしても学年に1人か2人です。
「女性は2浪までしか選抜してないの!?」と疑いたくなるほどです。
4)現役生からのイメージ
次に浪人生に対する現役生からのイメージを述べていきます。
簡単に説明すると、
1浪→「へー」
2浪→「あっそうなんだ」
3浪→「あっそうなんだ」
4浪→「ほうなるほど」
5浪以上→「・・・」
再受験生→「へー(1周回ってもはや何とも思わない)」
という感じです。
5)多浪生は学年で浮くのか
結論からズバリ!浮きません!
ほとんどの医学生は入学後互いに浪数を気にすることなどほとんどありませんし、知ったとしても瞬間的にリアクションをするだけです。
浪人をしていても精神的に若い人は多く、会話していても違和感はありません。
大学に入ったら年上の後輩や年下の先輩なんてよくあることですしね。
4浪以上でポケモンの世代の話などで世代間ギャップを感じる時がある程度です。
しかし同じ歳でも再受験生は多浪生とは少し違います。
やはり再受験生には社会人経験を経ている人も多いため、学年で浮くということはありませんが、何となく落ち着いていて年下の同級生からも〇〇さんのように少し年上扱いされることが多いようです。
6)まとめ
・浪人率は私立の方が国公立より高め
・浪人率が高いのは女子より圧倒的に男子
・浪数が多いのも男子
・浪人へのイメージは別に悪くない
医学部では2・3浪まで割と普通のこと
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