今回は私立医学部の中でも名実ともにナンバー1の慶應義塾大学医学部について内部生の話を元にその実態を解剖していきます。
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1)慶應義塾大学医学部キャンパス情報
慶應大の医学部生は1年生は日吉キャンパス(横浜市港北区)、2年生以降は信濃町キャンパス(新宿区)に通います。
附属病院
慶應義塾大学医学部は1920年に私学初の医学部として創立されました。
そして信濃町にある慶應義塾大学病院は医学部創立100年を記念して、2022年にリニューアルオープンしました。
また31もの診療科を有し、1日の外来患者数は3000人を超えています。
救急患者を年間2万件も受け入れ、臨床研究中核病院や再学拠点病院、特定機能病院にも指定されています。
そのため全国でもトップ5に入る評価の高い病院となっています。
2)慶應義塾大学医学部の特徴
私立医学部の中でもダントツの難易度
慶應義塾大学医学部は私立医学部の中でも2番手の慈恵会医科大学に大きく差をつけた圧倒的な難易度を誇ります。
そのため東京大学理科Ⅲ類志望の受験生の滑り止めになることが多いです。
また東京医科歯科大学と併願する受験生も多いですが、この場合の慶医の合格確率は半分ほどです。
さらに病院としても慶應は権威が強く、医師になっても肩身が狭い思いは全くないでしょう。
比較的緩めの学生生活
慶医は授業が緩く出席も厳しくないため、学生生活において時間に余裕があります。
そのため、遊びや部活、バイトに精を出す学生も多いです。
また医学生が通う信濃町キャンパスは都会の中心にあるため、遊びにも事欠かないでしょう。
短期臨床海外留学
短期臨床海外留学は面接で選抜された学部5年生が、希望する海外の病院にて約1ヶ月間の臨床実習をおこないます。
最近では年間50名ほどの学部5年生が参加し、米国、英国、スウェーデン、ドイツ、フランス、オーストリア、オーストラリア、中国、ブラジルなどで臨床実習を行っています。
3)入試
入試形式
上記で示した通り、慶應義塾大学の入試方式は一般選抜1回のみ(内部進学除く)です。
まず2024年度の入試日程は以下のようでした。
一般選抜 | |
1次選考入試科目 | 理科(物理、化学、生物の3科目のうち2科目)、数学、英語 |
1次選考 | 2月19日 |
2次選考(小論文、面接) | 3月1日 |
募集人数 | 66名(合格者は例年170名ほど) |
受験者数 | 1270名 |
試験会場 | 1次:日吉キャンパス(横浜市港北区) 2次:日吉キャンパス(横浜市港北区) |
一般選抜
一次選考
慶医の一次選考科目は英語、数学、理科(物理、化学、生物から2科目)です。
配点は以下のようになっています。
科目 | 英語 | 数学 | 理科 |
配点 | 150点 | 150点 | 200点(各100点) |
時間 | 90分 | 100分 | 120分 |
数学
慶医の数学は大問4問構成で、難易度の高い証明問題や複雑で計算量の多い計算問題が出題されます。
そのため高い思考力と計算力が必要で、他の科目と比べると難易度は高いです。
しかし極端に高い難易度の高い問題が出題されるわけではないですが、時間は足りない場合が多いので、解ける問題から優先的に解いていくのがいいでしょう。
また第一問は比較的取りやすい小問集合なので速く確実に解き切ることが重要です。
合格目標は6割から6割5分ほどです。
英語
次に英語は長文2題と英作文1題の大問3問構成です。
長文問題は全記述式ではあるものの、本文はいずれも読みやすく他科目よりも難易度は低めです。
また長文はすごく長いというわけではないので、速読力よりも論理的に精度高く読解することが肝要です。
英文和訳問題では如何に自然な日本語に言い換えられるかも気にしておく必要があります。
合格目標は7割ほどです。
理科
まず化学は大問3問構成で、設問数は多いですが難易度は比較的易しめで時間が余る受験生も多いと思います。
そして理論・有機はほぼ例年出題されますが、無機については出題のない年もあります。
そして合格目標は8割ほどです。
次に物理は大問3問構成で、第1問は小問集合であることが多いです。
非典型問題や数値計算の多い問題も多く、難易度はやや難です。
そして合格目標は7割ほどです。
最後に生物は大問3問構成で、難易度はやや難です。
理科の中では1番得点は取りにくいです。
そして問題量は多く、基本時間内に解き切ることは難しいでしょう。
分野は医学系分野に偏っており、教授たちがおそらくかなり力を入れて作成しているように思われます。
しかし科目間の得点は調整されると言えど、できれば高めに取ってきたいところです。
そして合格目標は6割5分から7割ほどですが、得意な人は7割5分ほど取れるといいでしょう。
全体では6割から6割5分を目指しましょう。
二次選考
小論文は600字ほどで面接の前に行われ、時間は60分です。
また内容はその時々に話題となっている医療関連のニュースや社会問題についてのテーマです。
そして面接は10分程度の面接が2回行われます。(再受験生や多浪生は3回行う場合もあるそうです。)
面接官は受験生1人に対して2人です。
面接の雰囲気は圧迫ということはほとんどなく雑談のような感じで面接は進んでいきます。
そして内容は大学志望理由、医師志望理由、併願校の有無、自己PR、理想の医師像など一般的な質問が多いです。
学費
慶医の学費は6年間で2200万円程度です。
そしてこれは私立医学部の中で5番目の安さです。
充実した奨学金制度
まずは慶應義塾大学医学部人材育成特別事業奨学金の合格時保証奨学金です。
これは医学部の一般入試成績上位者10名程度に、1年生から4年生まで年間200万円(総額800万円)を給付する奨学金です。
そして年間50万円の給付型奨学金を支援している慶應義塾大学給費奨学金などの成績制限のない給付型奨学金もあります。
他にも様々手厚い奨学金制度が慶應義塾大学には用意されているのでチェックしてみてください。
(参考)慶應義塾大学医学部奨学金制度
学生の浪人率・再受験率・男女比
まず慶医の入学者110名ほどの男女比は7:3で私立医の中でも女子が少なくなっています。
そして浪人率ですが毎年6割強ほどが現役、3割強ほどが1浪、数人が2浪・3浪で再受験生はいないのが特徴です。
そのため慶医は非常に現役志向で多浪や再受験生に不寛容だと言われています。
4)カリキュラム
1年生は日吉キャンパスで主に教養科目を学びます。
しかし他にも基礎医学の一部科目や早期体験実習を信濃町キャンパスで行います。
2年生はついに信濃町キャンパスに移って、基礎医学について学び始めます。
3年生は主に基礎医学の総仕上げと臨床医学の一部を学びます。
また「自主学習」という学生が4ヶ月間(7,9,10月の3ヶ月に加えて夏休みの1ヶ月)、選択したテーマの研究に専念するプログラムがあります。
近年では沖縄科学技術大学院大学や、Johns Hopkins大学などの学外施設、海外施設での自主学習も可能になっています。
4年生は臨床医学を完成させ、実習前に必要となるCBTとOSCEを受けます。
そして3学期からは臨床実習が始まります。
慶應では4学年3学期から6学年2学期までが臨床実習の期間です。
6年生となり臨床実習が終わると、Post-CC OSCEと医師国家試験を受けます。
5)学生生活
慶應といえば三田祭を想像するかもしれませんが、医学部は普通に授業や実習があり参加できないことがほとんどです。
また夏季長期休暇は1・2年生が2ヶ月、3年生以上が1ヶ月半ほどです。
6)内部生の声
・慶医の男子はモテるが実際に彼女がいる人は多くはない。
・彼女は他学部や他大の女子が意外と多い。
・学部1年生は受験から解放されてはっちゃけがち
・他学部との関わりが少ないのが不満
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